冬至へ向かうころ
冬至は言わずと知れた一年で一番夜が長い日だが、日の出がもっとも遅く、日の入りがもっとも早い日ではない。二つの時刻の変化は、ずれているのだ。冬至の日には、すでに日の入りは少し遅くなっている。一番早いのは一二月の第一週から二週あたりだ。
このころ、暦の上での日の入りは午後四時半ごろだ。だが山に囲まれた鎌倉では、体感的な日暮れの時間は、ところによりまちまちだ。七里ガ浜あたりでは、伊豆半島のむこうに沈むまで日が遮られることはなく、見事な夕日が見られる。私の家の近所では三〇分近く早く、四時を少しまわったところで太陽が山に隠れる。夕日というより、ただ日がかげるだけだ。
山の向こうにはまだ日があるので、空には薄明かりが残り、ぼんやりとした灰色の空気にあたりが包まれる。まわりが見えないわけではないが、灯りがないとなんとなく心細い。けれど灯したからといって、そう違いがあるわけでもない。昼とも呼べないが黄昏には早い、この中途半端ですっきりしない時間帯をなんと呼んだものだろう。
とはいえ、日暮れが早いのも必ずしも悪くはない。燈火の温かさが楽しいし、なにより早くからお酒が呑める。いつも昼間から呑んでいるじゃないかとかは、いいっこなし。
(2016年12月・片岡 夏実)
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