私論・大仏殿再建計画

 長谷の大仏を修復するための調査が始まっているのだそうだ。何でも水漏れや腐食が見つかっているらしい。無理もない。大仏殿が倒壊したのは、一四世紀半ばとも一五世紀末ともいわれる。以来五〇〇年以上、大仏様は風雪に耐えてきたのだ。
 いっそのこと修復などと言わず、これ以上の傷みを防ぐために大仏殿を再建したらどうだろうと思った。でも、鎌倉大仏は露座の大仏として内外に知られている。確かに青空と緑の山を背景にした露座仏には、自然と調和した鎌倉らしい趣がある。ならば、屋根を開閉式にして昼間は開放し、夜や荒天時には閉じるようにすればいい。ドーム式大仏殿だ。
 大仏様にドームなんてと、眉をひそめる向きもあるだろう。しかし、昔の人は決して伝統的な建物を建てようとしたのではなく、その時代で最先端のデザインを目指したのではないかと思うのだ。だから、センスや環境との調和は問われるけれど、モダンなデザインの大仏殿もいいんじゃないかという気がする。
 ただ、ドームが開いて大仏様が姿を現すところを想像すると、昔のアニメにあった巨大ロボットの発進シーンをどうしても思い出してしまう。個人的には嫌いではないし、子どもは喜ぶだろうけど、世間には受け入れられないだろうなあ。

(2014年2月・片岡 夏実)


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