庭のテントウムシ
今年は庭に植えたオクラが豊作だった。秋になってもいっこうに衰えることなく、花芽をつけ、花を咲かせ、実を結ぶ。ところが気温が下がり、日が短くなってくると、さすがになかなか実が大きくならない。
ちょうどそのころ、花芽にびっしりとアブラムシがたかり始めた。気がつくと払い落としたり、駆除に効果があるという石鹸水をかけたりしたが、アブラムシは増える一方だった。どうせもう収穫はあまり期待できないので、片づけてしまおうかとも思いながら、まだ花が咲くので踏ん切りがつかずにいた。
するとうまくしたもので、どこからかテントウムシが飛んできて、アブラムシを食べるようになった。初めは一匹だけだったのが増え始め、やがて一株に一匹のテントウムシが常駐していた。きっと冬眠に備えて、栄養を貯えているのだろう。そう思うと今度はテントウムシに遠慮して、オクラを引き抜くことができなくなった。
すっかり肌寒くなり、日も射さなくなったある日、テントウムシもアブラムシもすっかり姿を消した。オクラの葉は枯れて、木枯らしにかさかさと鳴っていた。なぜか花芽はまだみずみずしかった。それでも思い切って、株を全部引き抜き、耕して肥料を入れたが、予定していたソラマメのまき時は、すっかり過ぎていた。
(2012年12月・片岡 夏実)
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