赤い土の記憶
それがどこなのか、はっきりとはわからない。浄明寺か十二所方面のバス停からそう遠くないところだったと思う。宅地造成前の空き地は赤茶けた粘土質の泥に覆われ、干上がったダム湖の底のように深くひび割れていた。おそらく幼稚園に上がる前だった私には、それがどこまでも続いているように感じられた。そこで同じ年くらいの女の子と出会い、仲良くなった。持っていたガムをあげ、一緒に泥の中に踏み込んで遊んだ。陽気のいい日で、湿った土の感触が心地よかった。 (2010年1月・片岡 夏実) |
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